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おおつあやか後援会が2000万円訴訟の控訴理由書を提出

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日付
2026/01/06 
サブタイトル
「党首が国会議員に就任すれば政党交付金・献金・寄附が見込める」など 
説明

令和7年(ネ)第5804号 否認権行使請求控訴事件
控訴人(一審被告) おおつあやか後援会
被控訴人(一審原告) みんなでつくる党破産管財人森利明

控訴理由書

令和8年1月6日

東京高等裁判所第8民事部A4係 御中

控訴人訴訟代理人
弁護士 豊田 賢治

頭書事件につき、控訴人の控訴理由は、次のとおりである。
なお、略語等については、本書において定義するもののほか、特に断りのない限り、原判決の例による。

第1 原判決言渡し後の債務の履行

1 被控訴人は、本件の訴えの提起に先立ち、控訴人名義の普通預金口座の残高1294万3313円を仮差押えしていた。
2 被控訴人は、原判決における仮執行宣言に基づき、上記仮差押えをしていた預金残高1294万3313円を差し押さえ、取り立てた。
3 よって、控訴人は、1294万3313円について被控訴人の本訴請求に係る債務を履行した。

第2 本件支払の無償行為性

1 原判決の引用する最高裁判所判決においては有力な二つの反対意見が述べられている。

2 すなわち、裁判官島谷六郎の反対意見に以下のとおりの見解がある。「破産法72条5号による無償否認は、破産者及び受益者の主観的要件を全く問うことなく、一定期間内の無償行為でありさえすれば、ただそれだけの理由で否認することを認めた特殊な否認類型である。同条が定める他の否認類型、すなわち1号の故意否認では、破産者及び受益者において否認の対象となる行為が破産債権者を害することを知っていたことが必要であり、2号ないし4号の危機否認でも、受益者らが破産者の支払の停止又は破産の申立があったことを知っていた等の主観的要件が必要とされるのに対し、5号の無償否認では、破産者及び受益者の主観のいかんを全く問わないのである。破産者が破産債権者を害する意思をもつことを要しないのはもちろん、受益者らにもこのような主観的要件は必要ではなく、客観的に無償行為であるならば、これを否認しようというものである。このような純客観主義的な否認類型を認めた理由は、否認の対象が無償行為だからである。無償で財産上の利益を取得した者は、それによって他人の権利が害される場合には他人に譲らなければならないという法理念に基づき、否認を許しても、財産状態が原状に復するだけで受益者がそのために損失を被ることがないことを前提とするものであって、贈与がその典型である。贈与が否認されても、受贈者において贈与者から贈与された物を返還すれば足り、それ以上に失うものがなく、その立場が不当に害されることはないからである。これに反し、破産者の保証若しくは担保の供与(以下「保証等」という。)があるため債権者が主たる債務者に対して貸付等の出捐をした場合において、破産者の保証等の行為が無償行為に当たるとしてこれを否認しうるものとすれば、債権者は保証等がないにもかかわらず出捐を行ったのと同じ結果になる。債権者としては、保証等がなければ出捐をしなかったはずであるが、それが否認されると債権者の出捐だけがそのまま残ることになり、その立場は著しく害されるのであって、贈与が否認された場合の受贈者の立場とは甚だしく異なる。このような場合までをも無償行為とみて、当事者の主観のいかんを問わず、客観主義的な無償否認を許すのは、法の趣旨とは考えられない。」

3 無償否認を純客観主義的に捉えていかなる場合でも形式的に無償行為であれば否認を許すことは破産法の意図するところとは思われないし、具体的な弊害を生じるおそれも否定できないのであり、基本的には上記反対意見における見解に従うのが現在の実務としては正解と考えられる。

4 本件支払は保証等ではなく政治活動に関する寄附(資金供与)であり、上記の反対意見における見解がそのまま適用されるものではないが、「無償で財産上の利益を取得した者は、それによって他人の権利が害される場合には他人に譲らなければならないという法理念に基づき、否認を許しても、財産状態が原状に復するだけで受益者がそのために損失を被ることがないことを前提とする」との点は本件支払にも当てはまる。

5 本件支払は、政治資金規正法第3条第4項に定める「政治活動に関する寄附」である。「政治活動に関する寄附」による政治資金は政治資金規正法において規制されており、預金等以外の方法により運用してはならないこととされているほか(同法第8条の3)政治団体以外の団体は政党及び政治資金団体以外の者に対して政治活動に関する寄附をしてはならないこととされ(同法第21条第1項、第2項)政党以外の個人や法人は公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して政治団体以外に対して寄附をしてはならないこととされ(同法第21条の2第1項、第2項)政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関する寄附は各年中において政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対しては五千万円を超えることができないこととされている(同法22条)。これらの規制に加え、政治団体が「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること」や「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること」を本来の目的とする団体である(同法第3条第1項)ことを踏まえれば、「政治活動に関する寄附」は、単なる贈与ではなく、政治活動の対価として評価されるべきものである。また、「政治活動に関する寄附」の中でも政党が政治団体に対してするものは政治資金規正法上特別扱いされており(政党以外の団体から政治団体以外の団体に対してするものと比べて圧倒的に規制が小さくなっており)、それが政治活動の対価としての性質を強く有していることが裏付ける。

6 控訴人は、被控訴人(政党)の党首の政治活動を後援することを目的とする政治団体であり、その活動の成果は被控訴人(政党)に還元されることが期待されている。具体的には、党首が国会議員に就任すれば、それに伴い被控訴人(政党)に政党交付金が支払われることになる。また、国会議員に就任しないまでも、その政策が多くの人に指示されることになれば被控訴人(政党)に多くの献金・寄附が集まることが期待できる。

※ 「指示される」の記載は原文ママ

7 確かに、現実には被控訴人(政党)の党首は国会議員の選挙に出馬したものの当選には至っていない。しかし、本件支払はいわば被控訴人(政党)における政党交付金や献金・寄附の受給可能性を高めるための支出であり、その意味で経済的対価性がないとはいえない。

8 本件支払について否認権行使を許すとすれば、それは遡って被控訴人(政党)は政治活動のための資金を支出して政党交付金や献金・寄附の受給可能性を高めることができないことを意味するので、結局「受益者がそのために損失を被ることがない」とはいえない状況が招来される。このような場合までをも無償行為とみて、当事者の主観いかんを問わず、客観主義的な無償否認を許すのは、法の趣旨とは考えられない。

第3 結語

以上から、原判決には結論に影響を及ぼすべき認定判断の誤りがあり、取消しを免れない。

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